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サウナ人 笹野美紀恵(前編)

笹野美紀恵#01

ブームを支える顔役たちに聞いた
サウナとその未来

ブームを支えるサウナ関係者に話を聞く連載がスタート!

1人目は、サウナ・ブームの火付け役ともいえるドラマ『サ道』にも出演していた「サウナの女神」こと、笹野美紀恵さんだ。

笹野美紀恵。
「サウナの女神」とも呼ばれる女性で、実家はサウナーなら知らぬ者はいない“サウナ聖地”と呼ばれる静岡の「サウナしきじ」だ。
海外留学などを経て、若いころにはファッション雑誌のモデルとしても活躍していた笹野さん。現在、サウナしきじの広報も兼ねながら、日本各地のサウナのプロデュースも手掛けている。

たとえば、京都の「moksa」、北海道の「あかん遊久の里 鶴雅」、島根県の「IZUMO HOTEL THE CLIFF」……そのいずれもが個性的で、見た瞬間にサウナーの心をつかむ、魅力的に溢れている。

3回に分けて掲載するインタビュー第1回目は、笹野さんとサウナの出会いについて語ってもらった。

両親に連れられ、
あちこちの温浴施設へ

気づいたらサウナがそこにありましたね。実家がサウナしきじを始めたのが、2005年(※1987年ごろからあったサウナ施設を笹野家が引きつぐかたちで「サウナしきじ」へと生まれ変わった)、二十歳頃なんですが、その前からサウナにはずっと通っていて……小学校のときから、大人に混じってすでにサウナに通っていましたね。ほかに子ども? いないですよ、小学生はもちろん私だけです(笑)

幼少時代にサウナを知り、気がついたときには、サウナが当たり前の生活を送っていた笹野さん。そのきっかけは、ご両親にあるようで……。

両親がよく私たち兄弟を温浴施設に連れて行ったんです。5人兄弟なので、どこかのアミューズメントパークで遊ばせると迷子になったりしそうじゃないですか。でも温浴施設って、例えば草加健康センターとかって、大きすぎず、小さすぎないちょうどいいサイズじゃないですか。そうすると親は、子どもたちを放し飼いでいいわけですよ(笑)。施設によってはゲームセンターや映画も見られるし、好き勝手できるので、親からすると楽だったんでしょうね。自分たちはお風呂に入って(笑)。

幼いころは、なんで温浴施設ばっかり連れて行かれるんだろう……ディズニーランドに連れてよ! と思いましたね(笑)。

静岡県の近郊から……あちこちの温浴施設に行きましたね。お墓参りの帰りに、車の後ろにお風呂セットを常に入れてあるので、『寄るよ』みたいなかんじでした(笑)。ディズニーランドとは程遠かったですね

「しきじ」が笹野さんの
サウナライフの原点

そんな幼少期からサウナが身近にある日常を送っていた笹野さん。当時はどんな入り方をしていたのだろうか?

はじめは母親と入りました。小さい子って親についていきたいじゃないですか? 暑いなと思いながらサウナに入りました。子どもころはとくになにも意識せず、ルーティンで入っているだけで、何も感じてないですね(笑)。子どもって大人がやっていることを真似したいじゃないですか(笑)。

ある施設に行ったとき『10歳以下の子どもはサウナに入っちゃダメ』と言われ、ちょっとした衝撃だったのを覚えています。というのも私たちがホームにしていた、施設(いまのサウナしきじ)は、とくに注意もされなかったから……。

しきじは、サウナ室がガラス張りじゃないですか? 中で人の動きを見ていると飽きなかったんですよね。他の施設に行ったときに、サウナに窓がなくて、びっくりした記憶があります。やることがないんだけどって(笑)

と、今の「サウナしきじ」こそが、笹野さんのサウナライフの原点でもあるようだ。
こうして、サウナが当たり前の大人へと成長した笹野さんだったが……。

大人になってひとりでサウナに行くようになるんですけど、東京に出て来て、女友達に『サウナに行こうよ?』と誘ったら、ちょっと引かれたのは、結構、カルチャーショックでしたね。

大分県の人ってカフェみたいに温泉で話をしたりするって言うじゃないですか? その感覚で『サウナで話そうよ』みたいな感じで言ったら『なんでサウナなの?』と変な空気になりましたね。
私自身が、大分県人の文化/感覚に近いのかもしれないですが

そんな笹野さん、どんなふうにサウナの入り方を会得していったのだろうか。

実は、東京に来るまで、サウナと水風呂を繰り返す、当時、一緒に入っていたおばさんたちもみんなそうだったんですけど、いわゆる旧式の入り方をしていたんです。休憩がなかったんですね。

いま思えば、若いころは、サウナに入る目的が美容や痩せるためにというのが大きかったですね。今みたいに脳を開放しにいくっていう作業ではなかったかもしれないです。
20代のときにモデルをやっていたので、痩せなきゃいけないと思っていたし、ストイックにハマったんでしょうね。

それが東京に出てきた23~24歳の頃、疲れた状態で静岡に帰り、久々に実家のサウナ~水風呂に入ったら、なんじゃこりゃ! すごい気持ちいい! ってなり、さらに休憩したときに、“ととのい”が訪れて、すっかり、入り方が変わってしまいました。違う入り方をしてこんなにサウナが気持ちいいんだと思ったんです。

その後『サ道』が出てきて、正しい入り方を理解したかんじです。
すごく疲れていたんでしょうね。東京生活をやめて、静岡に帰ろうかなときで……。水が良く……久々のサウナだから疲れるじゃないですか? こんな気持ちいいんだぁ……と改めてサウナの良さに気づきましたね、疲れたなと思ったらさらに気持ちいいと感じましたね

次回に続く


ささの みきえ

株式会社ONEBLOW代表取締役
エグゼクティブディレクター
エグゼクティブコンサルタント
静岡県出身

サウナファンの間では、実家が、サウナの聖地として名高い静岡の「サウナしきじ」としても知られる。アメリカ合衆国・ボストンの高校、大学に単身留学。日本へ帰国後、モデル活動を開始。

2008年のミスインターナショナルファイナリストとして美の親善大使に就任。TV、ラジオなどで活躍後、明治大学大学院でMBA取得。株式会社ONEBLOWを起業。自社製品の海外出展・大手飲食店、マーケティング、プロモーション企画など幅広いジャンルのトレンドクラフター、ビューティーアドバイザーとして活動。

ブランディング・マーケティング、サウナプロデュースなどにも携わっている。現在、静岡初のサウナ番組『サ活のサ』に出演、また『翼の王国』(ANA)、『美的web』「美容サウナ」で連載を持つ