4種の個性的なサウナに
川を水風呂代わり
自然と一体化する蒸気体験
5月17日と18日の2日間に渡り、神奈川県相模原市で「madsaunist “SUPERHEATED STEAM” tour 2024 – TOUR FINAL」が開催された。
イベントの主催は「madsaunist (マッドサウニスト)」。
これまでもSaunassa取材班はmadsaunistのサウナを何度も体験しており、そのたびにクオリティーの高さに圧倒されてきた。
そんな実力派集団による「自然の中で蒸気と向き合う」をコンセプトにした、野外サウナイベントだ。
その全貌とは果たして、どのようなものなのか!?

全身湯気まみれのお客さんの姿に
期待が爆上がり!
取材にうかがったのは、5月17日の昼と夜の部。
この日の天気は、朝から強い雨。
これが普通のキャンプやBBQなら、まいったなーと頭をかくところ。
だが、今日に限っては大した問題ではない。
どうせ、サウナと水風呂でびしょ濡れになるし、ととのったら雨だろうが風だろうが関係なくなるというものだ。
相模原の山間部にある採石場で車を停め、スタッフさんの送迎で会場へ。
到着すると、そこにはテントサウナが4つ。
少し下った場所には河原があり、川が流れている。
なるほど、ここを自然の水風呂にするという趣向か。
四方を囲む木々は霧をまとい、神秘的な風景で我々を迎えてくれる。
ちなみに今回用意された4種のサウナは、madsaunistの歴代の代表セッティングの最終形態だという。
楽しみすぎる!

ふいに、テントサウナのひとつが開く。
中から「あぢぃ〜」と言いながらお客さんが射出された。
大量の湯気をまとった“蒸かしたて”状態で、玉の汗が全身にびっしりと浮かぶ。
だが、その顔に苦悶はない。
解脱したかのような安らぎと多幸感、そして心地よい疲労を見せながら、夢心地の足取りで水風呂へ向かう。
やば。
めっちゃ気持ちよさそうすぎる……!
「おお、来てくれましたね!」
物欲しそうな取材班に明るく声をかけてくれたのは、madsaunistの総合演出家UKさん。
いわく、4つあるサウナはどれもとんでもない完成度の高さとのことで、期待がさらに膨らんでいく!
一通り撮影を終えたら、お待ちかねの体験タイムだ。



“薬草の女神”が生み出す
香りのサウナ
まず体験したのは、日本初のサウナの香り専門店「アルテミスの薬草店」のMISAさんの薬草サウナ「ハーバルラッシュ・サウナ」。
入口前にはナチュラルハーブで作られたゲートがあり、さっそく気分を盛り上げてくれる。

中に入ると——ぶわっ!
鮮烈な香りをまとったスチームが全身を包み込む。
湿度はとても高いのに決して息苦しくなく、ヒリヒリもしない極上の設定。
うんうん、これがmadsaunistの魅力なのだ!
テントサウナとは思えない——いや、テントサウナという密度の濃い空間だからこそなのか。
とにかく汗がドバドバ出てくる。
深く呼吸すると、体内を香りが流れていくのがわかる。
良い香気が肺を清め、心を洗う。
ほくほく顔で見上げれば、天井から吊るされたドライフラワーで構成されたスワッグシャンデリアが目に入る。
「これは7時間かけて作ったんですよ」
MISAさんはニコニコ顔でいう。
サウナはもちろん、おもてなしも妥協はない。

その後、MISAさんの代名詞でもある薬草噴霧もたっぷりと浴びまくり。
さらにテント内で頭から水をかぶるクナイプが、またたまらない。
スワッグシャンデリアの真下で水を浴びると、草花の野性的な香りが降臨してくるのだ。

スワッグシャンデリアの直下ゼロ段に座り見上げてみると様々な香りが降臨。
まさにハーバルラッシュ。
甘い香りを浴びながらの頭から水をかぶれるクナイプできるサウナは世界中どこを探してもない体験だ。

十二分に堪能し、大満足でテントから出る。
もわもわの湯気をまとい、蒸かしたての饅頭となった僕が向かったのは、もちろんアルテミスの薬草店によるミント茶1㎏水風呂。
なんとハーブティー500人分。
水温は16~17℃とちょうど良い。
あまりの気持ち良さに「くあぁ~」と、野鳥みたいな声を上げてしまった。

このイベントでは、ととのい椅子はあえて用意されていない。
自分の好きなところで、好きなだけ、自然を味わいながらととのうのだ。
僕はそのへんの岩に腰掛けて、しばしのリラックスタイム。
河原で横になる人、地べたに座り瞑想する人。
皆さん、好きな場所で「ととのい」を楽しんでいた。
“自由に自由を楽しむ人たち”を見ると、嬉しくなってしまうのは、きっと僕だけではないだろう。

madsaunistの頭脳が作る
ハードコアサウナ
続いては「スーパーヒーテッド・スチームサウナ」。
こちらのプロデュースは、madsaunistの研究開発担当で、消化器外科医でもあるYsK(ヨースケ)さん。

かなり攻め攻めなハードコア設定ながら、やはり息苦しさはない。
このあたりの設定は、やはり絶妙だ。
それに加えてBGMの深海のくじらの鳴き声。
これが没入感を高めてくれる。
テントサウナのセッティングと同様、BGMもまたこれまでのmadsaunistのイベント等で使われてきた代表的なものだ。
MISAさんのハーバルラッシュサウナでは、昼は鳥のさえずり、夜は篠笛の音色が響く。
そしてこのスーパーヒーテッド・スチームサウナで流れる「深海のくじらの鳴き声」は、madsaunist結成時に始めて流したもので、「MADといえばコレ!」ともいうべきBGMなのだ。
「今でこそテントサウナでBGMを流していますが、当時は本当に珍しかったんですよ」(UKさん)

時計なんて見る必要はない。
体の中が早鐘を打てば、それが合図だ。
素直に従い、水風呂へと飛び込む。
ととのう時間も、全部感覚任せでいいのだ。

果たして、残り2つのサウナはどのようなものなのか!?
後半へ続くッ!!
