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madsaunistのYASこと今井康明さんに聞く20代のキャリア戦略とサウナビジネス

madsaunist YAS インタビュー

madsaunistのYASこと
今井康明さんに聞く
20代のキャリア戦略とサウナビジネス

Saunassa.netには、20代の若きサウナーが多く訪れる。

仕事や人生に強い上昇志向を持つ方が多く、実際に施設運営などサウナビジネスを手がけている若者も少なくない。

好きなことを仕事にしたい。
会社員として成果を出しながら副業にも挑戦したい。
いずれは自分のブランドや事業を持ちたい。

そんな思いを持つ若者にとって、madsaunist(マッドサウニスト)YASさんの歩みは大きなヒントになるはずだ。

実はYASさんこと今井康明さんは新卒から本業+副業のWワークを始めて、33歳でFIREを達成したビジネスとWワークのプロフェッショナルなのだ!

そんなYASさんが、このほど『逆算キャリア戦略 20代で「年収1000万円」を達成するWワークの教科書』(翔泳社)を出版。

同書の話を入り口に、20代のキャリア戦略とサウナビジネスの可能性について話を聞きました!

YASさんの新著『逆算キャリア戦略 20代で「年収1000万円」を達成するWワークの教科書』は翔泳社より好評発売中。お求めはAmazonや全国書店で!

PROFILE
YAS(今井康明)

1991年、岡山県生まれ。
関⻄学院⼤学⼤学院を卒業後、アステラス製薬株式会社に入社。
その後、Deloitte、EY-Parthenonを経て独立。
新薬⽴ち上げから製品戦略⽴案、シンポジウム企画制作、リブランディング、政策提⾔活動をはじめとするライフサイエンス・ヘルスケア領域において製薬業界の戦略マーケティングを主軸に幅広いプロジェクトへ従事。

新卒から副業に取り組み、複数事業の連続起業を経験。
本業×副業のWワークにより10年間のキャリアで資産2億円を築き、33歳でFIRE達成。
現在はキャリア・資産形成、副業など新たな働き⽅をテーマに執筆や講演活動を⾏う。

フィンランド⼤使館よりFinland Sauna Ambassadorに任命。
ベストボディジャパン2025では近畿⼤会3位⼊賞、全国⼤会出場を経験。

趣味は総合格闘技と狩猟、パパ娘旅。
モットーは「Play work」「周到な準備が勝利を導く」

著書に『逆算キャリア戦略』『副業0年⽣の教科書』『君たちはFIRE後どう⽣きるか』(共著) など。

madsaunistのYASではなく、Wワークのプロ今井康明さんとしてお話を聞いた。ビジネスにうとい記者にもわかりやすく話してくれるあたりは、さすが一流コンサルタント!

Wワークには
会社員だけでは身につかない
「オーナーシップ」がある

まず、YASさんの経歴を改めて教えてください。ビジネスパーソンの経歴はプロフィールをご参照いただくとして、madsaunistとしての歩みをお願いします。

madsaunistは、2021年9月に結成した組織です。

最初に私がYsK(ヨースケ)とUK(ユーケー)、それぞれ個別に会っていました。

「これからのサウナは、一つのものを追求して、凝り倒せる人が残っていくんじゃないか」と考えた時に、3人で意気投合して結成した組織ですね。

こちらがおなじみmadsaunistのYASさん。総合格闘技経験者で、おまけにBEST BODY JAPAN 2025では全国大会の出場経験もあり。かなりゴツいけど、とっても優しい人なのだ

YASさんの新著『逆算キャリア戦略 20代で「年収1000万円」を達成するWワークの教科書』(翔泳社)は、20代に向けてWワークや副業をテーマにしています。率直に、若者は副業をやるべきだと思いますか?

クリアにイエスです。

できれば、より早く始めた方がいいと思っています。
理由は2つあります。

1つ目は、ビジネスのスキルを早く身につけるためです。

私自身もそうだったのですが、大手企業であるほど若手は守られています。失敗しても、上司がフォローしてくれる。
私も若手時代はたくさん失敗して、上司にお尻を拭いてもらいました。

副業として自分のビジネスを持つと、自分がオーナーになります。
そこでのオーナーシップやプロフェッショナリズム、つまりプロ意識は、会社員だけでは養いきれなかったと思っています。

若ければ若いほど、早ければ早いほど、そこを経験した方がいい。

2つ目は資産形成です。

若者は基本的にお金がありません。
社会人になった時点で、十分な資産を持っている人は多くない。

そこでいきなりiDeCoやNISAにお金を入れるよりも、まずは自分の体力や時間といった武器を副業という事業に当てた方がいいと思っています。

貯める力や運用する力より、まずは稼ぐ力にフォーカスした方がいいということです。

給与の高い大きな会社にいても、若い人は意外とお金がないものですか。

大手企業だからといって、自然に資産が貯まるわけではありません。

むしろ、大手は安定しているぶんだけ上振れしづらい。
上も詰まっていますし、先輩の年次やグレードを見ていても、「このスピード感は、自分が描いているものではないな」と感じることがありました。

収入という意味でも仕事の責任という意味でも、副業をやるべきだと思っていましたね。

20代で年収1000万円を狙うなら、
本業一本よりWワーク

本のタイトルには「20代で年収1000万円」とありますが、会社員だけでこれを達成するのは可能でしょうか?

難易度は高いと思います。会社員全体で見ても年収1000万円は5%くらいで、それも40歳前後のピーク時を含めての数字です。
20代でとなると、より難しい。

会社員として年収1000万円を稼ぐより、本業に副業を足した合算で1000万円を超えていく方が現実的だと思っています。

本のタイトルには「20代で1000万円」とありますが、その本質は本業と副業の合算で、1000万円を超えていこうというアプローチです。

その方が難易度も下がる?

そうですね。税制上の観点でも、ひとつの会社で2000万円を稼ぐより、本業で1000万円、副業で1000万円を稼ぐ方が、経費や法人化などを含めて手元に残る金額が大きくなる可能性があります。

もちろん本業のキャリアも上げていきますが、副業も合わせて二重で収入を作っていく。

では、どのくらいの人が20代で年収1000万円を実現できるかといえば、20代からこの本を読んでくれる人であれば半分くらいは届くんじゃないかと思っています。

今は動画でもショートコンテンツでも情報が取れる時代です。
その中で、あえて本を選ぶ人、そして長い文章をしっかり読める人は読解力もあるし、違う角度から物事を見られる。
だからこそ、本で届ける意味があると思いました。

YASさんご自身は、社会人2年目にはWワークで年収1000万円以上をクリアしていたとか。

副業を始めるとしたら、最初に何をすべきでしょうか。

まずはマインドセットです。

書籍でも「ライスワークか、ライフワークか」という話を書きましたが、「何のために副業をするのか」を自分の中で整理する必要があります。

お金のためにやるライスワークであれば、短期的に稼ぐための目標設定が必要です。

一方で、すでに本業でしっかり稼いでいる人が、自分の時給より低いことを副業でやりたくないという場合もある。
それはきっとライフワークにすべきことですよね。

早く始めることも大事ですが、それ以上に、なぜ始めるのか。そこに腹落ちを作ることが重要だと思います。

 AIに任せる部分、
人間がやるべき部分

今はAIを切り離して考えることはできません。一方で、全てに使えばいいというものでもないと思います。YASさんはAIとどう向き合っていますか。

まず、今回の本はAIを使わずに書きました。そこは伝わったら嬉しいところですね。

AIには使う部分と絶対に使ってはいけない部分があると思っています。

使わない部分から言うと、顧客に届けるマーケティングアプローチです。

私はカスタマーインサイト(顧客の深層心理)を得意にしています。
顧客が行動を起こす時に、どんな思いで買うのか。ここはAIに聞けば、それらしい答えがバーッと出てきます。
でも、それで理解した気になってしまうのは怖い。

だから私はお客様にインタビューしたり、市場に出向いたりして、ちゃんと一次情報を取りに行くことを大事にしています。

AIはあくまで二次情報を体系化し、理路整然と述べたもの。

お客様に近い場所へ届けるアプローチには、二次情報以下のものは使わないようにしています。

一方で、情報の体系化や整理にはどんどん使えばいいと思います。

議事録を文字起こししたり、一次情報を整理したり。
そういう人がやらなくてもいい部分にはAIを使うべきです。
その分、私たちの人生の時間を、もっと右脳的なところに使った方がいい。

もし、AIだけでコンサルや副業をやろうとすると、短期では稼げても、生き残るのは難しい。

個人情報をAIに入れて「この人をどう喜ばせたらいい?」と聞くのではなく、そこは人間が想像力を出す部分だと思っています。

画竜点睛の「目」の部分は、絶対に人間がやるべきです。

本業を軽視してはいけない

本には失敗の話も出てきます。若手が副業を始めるにあたって、「していい失敗」と「ダメな失敗」を教えてください。

ダメな失敗から言うと、キャリアを軽視するような失敗です。
具体的には、本業を軽視することですね。

仕事って、多くの人にとっては人生で最も時間を使っているものですよね。
僕自身、それを軽視してしまった時期があって、それはダメだったなと思っています。

もう一つは、なぜ失敗したのかを言語化できない失敗です。

事故でも、睡眠不足だったとか、確認不足だったとか、理由があるはずです。
それが分からないままになっているのは、ダメな失敗だと思います。

逆に、要因分析ができて、そこから学びや気づきがあるものは、どんどん失敗すべきです。

私もアステラスにいた時、副業で発信していたことが他のメディアに取り上げられて、アステラスのロゴが出てしまったことがありました。

それをきっかけに、社内のeラーニングで「SNSの使い方に気をつけましょう」というレクチャーができたこともありました。

当時はキャリアに傷がついたと思いましたが、振り返ると大きな傷ではなかったし、自分の学びが後の人に繋がったのであれば、それは意味があったと思っています。

アステラス製薬から歩いてすぐのうなぎ屋さんでランチ。「10年ほど前、アステラスの最終面談を受ける前に、働いている自分をイメージしたくて、こちらでうなぎを食べたんですよ。さすがにエモすぎますね」(YASさん)

失敗を失敗で終わらせないために、言語化するわけですね。

そうです。
本業を軽視したこともありますし、懲戒会議に呼ばれたこともあります。一通りの地雷は踏んできました。

でも、それを言語化することで次世代が同じ過ちをしないことになれば、僕がした失敗は意味のあるものになります。

謝り方や、トラブルの避け方にコツはありますか。

仁義を通すことだと思います。

僕は副業をする際、会社に隠れてこそこそやっていたわけではありません。
上司など近しい人には伝えていました。

何かトラブルが起きてから考えるのではなく、近しい人や尊敬している人には自分の行動をあらかじめ伝えておく。
家族も含めて、悪い意味でのサプライズがないようにする。

トラブルが起きた時に、「なんでこんなことをしていたんだ」とならない状態を作っておくことが大事だと思いますね。

根回しというより、仁義を通すという感覚が近いです。

頑張っているのに稼げない人が
陥っている2つの罠

頑張っていても稼げる人と稼げない人が出てきます。その違いはどこにありますか。

2点あります。

1つは、戦う市場の選定です。
転職活動と同じで、働く業界によって給料は大きく違います。
どこの市場で戦うかをしっかり選べているかは、結果が出るかどうかに大きく関わります。

もう1つは、成功者の「頑張っている」という基準を知ることです。
頑張る、苦しい、忙しいという言葉は、人によってその度合いが全然違いますよね。

成功者の「頑張っている」を体感するためにも、一流に触れることが重要です。

自分にとっての努力と、成功している人が考える努力には、大きなギャップがあるかもしれない。
その現在地を知ることが大事ですから。

一流に触れるには、どうすればいいのでしょうか。

私はアステラスにいた頃から、かなり散財していました。
車、カバン、時計、色々な一流のものにお金をかけてきました。

一流のものには、ふさわしい理由があると思っています。触れてみると、機能を超えてくる部分があるんですよね。

ただ、5000円するゲイシャ(Geisha)というコーヒーは実際に飲んで美味しいと感じましたが、100円のコーヒーの50倍美味しいのかというと、そうではないかもしれません。

でも、その値段に至るまでのストーリーがやはりあるんですよね。

その理由を感じることは、将来自分が付加価値を生む側に回った時に役立ちます。

なぜその値段なのか?
なぜその人はそれを買うのか?

そういったストーリーを語る力は、一流に触れることで身についていきます。

また、一流のものを身につけると、心持ちも変わってきます。
私はドクターと仕事をしていたので、新卒の頃から100万円を超える時計をつけていました。

ドクターから見ると、「金がないのに頑張って買ったんだな」という気概を感じてもらえる。
そういう張り切っている感じが、人間関係の中で可愛がっていただく機会にもなりました。

二兎を追う者だけが、
二兎を得る

YASさんは今回の本で伝えたいテーマとして「二兎を追う者だけが、二兎を得る」という言葉を挙げていました。

これは自分の中で、かなり伝えたいポイントです。

「二兎を追う者は一兎をも得ず」ということわざがありますよね。

でも私は逆で、両方を追っている者しか両方を得られないと思っています。

ビジネスパーソンとしての軸と、madsaunistとしての軸。

私自身、両方を本気で追っていたから今があると思っています。

madsaunistが手がける愛知県豊田市の「SAUNA BUG」。このイカれた内装を見て、誰がサウナだと思うだろうか。「本気」にならなければ、こんなサウナは作れない。

昔は、二兎を追うなと教えられることが多かったですよね。

私も新卒の頃によく言われました。親心としては、当然そう言いたくなるのも分かります。

でも私は「見返してやろう」と思っていました。
先輩に年収自慢をされた時も、「自分はその先輩よりも早くその金額に到達してやる」と誓いました。

今の新卒は、フリーファイトの時代です。
インスタで何万人もフォロワーがいて、給料より稼いでいる新入社員もいる。
どっちが副業か分からない状態で社会人をスタートする人もいます。
そういう時代ですから、二兎どころか三兎、四兎を追う感覚は、もっと持った方がいい。

もちろん、得られないこともあります。
でも、二兎を追って得られなかった過程にも学びがあります。

なぜ逃したのかを分析できれば、それはいい失敗になる。
ですから20代はもちろん、50代などの人にも、二兎を追う姿勢を持ってほしいと思っています。

サウナビジネス成功のカギは、
どこで勝負するか?

ここからはサウナの話を聞かせてください。サウナはビジネスとして成り立つのでしょうか。

イエスでもあり、ノーでもあると思っています。
結局、どこで勝負するかです。

施設を作るという点でいうと、これからは結構厳しい戦いになると思います。
今は、すごくラグジュアリーなものと、大衆的でハートフルな施設に二極化しています。

大規模でお金をかけた施設も残るし、一人で切り盛りしているけれど愛にあふれているような場所も残る。
でも、その間にある中途半端な施設は、かなり厳しくなっていくと思います。

サウナの人口動態も、一時期のピークに比べると落ち着いてきています。
リモートワークから出社に戻る流れもあり、可処分時間が通勤などに取られるようになった。
一方で、サウナは増えすぎました。
そういった点から、難しくなっていく部分があると感じています。

ただ、madsaunistのアプローチのように、施設がもっと利益を出し、付加価値をつけるところをアシストするビジネスは、まだ生き残っていけると思っています。

スチームジェネレーターやチラーのように、他の施設より満足度の高いものを作ることができる。
その時に白羽の矢が立つポジションを取れれば、ビジネスとしては成り立つと考えています。

madsaunistは、施設そのものを作るというより、プロデューサー集団やコンサルティング集団に近いのでしょうか。

私たちは自前でサウナを持っているわけでも、ストーブを持っているわけでもない。
ストーンタワーガードのようなニッチなものを作っている。
でも、そこに唯一無二のポジショニングがあります。

私たちはサウナビジネスを始めたころから、ユーザーの舌が肥えていく未来を確信していました。
3年後、5年後に「こういうものが欲しくなるだろう」というビジョンを先に見て、今のうちに作っておく。
だから、最初は全然売れなかったんです。先を見すぎていたので、時代が追いついていなかった。

短期的に稼ぐなら、その時のトレンドを追いかければよいでしょう。
現に、2022年頃はテントサウナのクラウドファンディングも盛り上がっていました。
でも私たちは、そういう人たちと競合になるのではなく、共創する立場を取りました。
市場全体が伸びるように動く。

消防法や安全性も含めて、安全、安心、気持ちいいを追求してきたのは、そこに理由があります。

そしてこれからの時代、大型サウナ施設の乱立により、既存施設の淘汰が始まります。
その文脈の中でmadsaunistとしても、未来を見据えたマーケティング戦略を描き、水面下での準備を進めています。

たとえば、立地や集客に課題を抱える既存施設であっても、熱源を大きく入れ替えることなく、私たちが開発しているシステム/プロダクトを追加することで、熱・湿度・蒸気・空気の流れを再設計し、サウナの体感価値を劇的に向上させることができます。

現在madsaunistでは、その思想をより多くの施設に実装していくために、既存の熱源に追加することで体感をアップデートするシステム「madENGINE(マッドエンジン)」の小型化も推進しています。
既存設備を活かしながら、施設オーナーの投資負担を抑え、顧客満足度の向上につなげていきます。

こうした施設オーナー視点での課題解決型マーケティング戦略にも、ぜひこれからご注目ください。

「好き」をビジネスにする時こそ、
マーケットを見る

サウナのように「大好きなこと」をビジネスにする際、注意すべきことはありますか。

大好きというのはすごくいい言葉ですが、恋愛と同じで近視眼的になりやすい。
好きだからこそ、他人とっても本当にいいものなのかが見えづらくなるんです。

私自身、最初からサウナが大好きだったわけではありません。
サウナ市場が来ると思ったので、意識的に熱中することにしました。
イベントに足を運び、なぜこのサービスが面白いのか、どうして周りの人たちはこれほど熱狂しているのか。
それを一消費者として体感しながら見ていく。いわゆるディープダイブといわれるものです。

インタビューで話してくれた以外にも、本書にはマーケティングの基礎から応用までが丁寧に書かれている。非常に実戦的なので、ビジネスの最新版教科書として読むのも◎

ビジネスではやはりMarket (市場)が重要です。

Will (やりたい)・Can (できる)・Market (市場)で言うなら、私はMarket →Can→Willの順で見ています。

どの方向に行くのか、どの角度で行くのか、どの距離感で行くのか。

方向が定まってから、Willというガソリンを入れていく感覚です。

副業を始めた人が、自分の行く方向が正しいかどうかは、どう判断すればいいのでしょうか。

シンプルに言うと、稼げているかどうかです。

稼ぐという言葉は少し生々しく聞こえるかもしれませんが、誰かに価値を届けて、お金という形で評価されているという意味でもあります。

半年、1年やっても全然稼げていないなら、ニーズがないか、どこかが大きく欠けている可能性があります。

もちろん、稼ぎだけではない切り口もあります。

自分にとって意義があることをやるのも大切です。
ただ、これから稼ぎたいのであれば、やはり「稼げているかどうか」で判断するのが分かりやすいと思います。

スモールスタートで仕込み、
熱狂的なファンを作る

サウナビジネスで気をつけるべきことは何でしょうか。

スモールスタートだと思います。
いきなり大型な施設投資をするのではなく、市場調査をしながら小さく始める。

私が押上で最初にやったSupreme Saunaも、まずテントサウナによりテストマーケティングを重ねて、市場調査を繰り返してニーズを確かめました。

いきなり大型投資をして作り込んでも、そこに需要がなければ価値は届けきれません。

本の中では利益の高いものを少し売る「厚利少売」というモデルをすすめています。高単価なサービスを売る場合、人を呼ぶのが難しくなりませんか。

まず、これからの時代、薄利多売ではジリ貧になると思っています。

自分たちがいいものを作り、いいメッセージを届けるために、利益は厚く、小さく売る。
厚利小売のように、深く届ける戦い方が重要になる。

そこで大事なのが、熱狂的なファンを作ることです。
SNSでの周知はしますが、それがメインの集客方法ではありません。

サービスを実際に体験してくれたお客様に、口コミでその良さを広めてもらう。
こちらから「ぜひ、SNSで発信してください」とお願いしなくても、自分から「ここは本当にいい(本当は教えたくない)」と誰かに伝えたくなる。
そういう状態を自然に作ることが大事です。

製品を作る場合も同様です。

スチームジェネレーターのような、頭をぶち抜かれるような体験。
大の大人が気持ちよすぎて叫んでしまうような感動。

そういうものを作るには、突き詰めていいものを作ることが大切です。
それこそがマーケティングの本質だと思っています。

順序としては、最初から自分たちのタレント性で売るのではなく、まずはプロダクトや空間を好きになってもらう。
人が出てくるのは、そこからです。

「忠恕」がAI時代の
最後のバリューになる

YASさんは本の中で「忠恕(ちゅうじょ)」の大切さを説いています。これはサウナビジネスにも通じるものでしょうか。

通じると思います。

忠恕は簡単に言うと「まごころを尽くし、相手の立場で思いやること」で、お遍路の中で自分の身に刻まれた言葉です。
本当に入れ墨にしようかと思ったくらい、これからの時代に大切な言葉だと思っています。

感動や感謝という言葉の本質を突き詰めると、僕の中では忠恕なんです。
相手を思いやって、自分ごとのように想像する。
そこまでやって初めて、人の心は動くのだと思います。

普通の「ありがとう」では、まだ浅いんです。
相手が「ここまでしてくれたんだ」と感じる。
ありがたいを通り越して、少し謝りたくなる。それくらいの感覚です。

「こんな細かなところまで、自分たちのために考えてくれていたんだ」と、相手に感じてもらえる。
そこまでいくと、サービスはただの機能を超えてくる。

サウナ室も同じです。

見えるところだけきれいに整えることはできます。
でも、実際には見えていないところまでこだわる。
石の積み方、熱の回り方、導線、音、空気、体験した人が言語化できない部分まで作り込む。

こちらは2021年10月に公開実験として開催されたmadsaunist初の自主サウナイベント「madsaunist “β001|experimental esthetics(エクスペリメンタル・エスセティックス)” 」の様子。サウナの満足度はもちろん、アート性やホスピタリティーにいたるまで、当初より初志貫徹でイベントプロデュースを行っていた。イベントレポートはコチラ➡︎ https://madsaunist.com/archives/1962

普通なら気づかれないかもしれません。

でも、身体には残ります。

そこで感じてもらえることが、本当の感謝につながるのだと思います。

AI時代に人間が出せる最後のバリューこそ、忠恕だと私は考えているんです。

AIは整理もできますし、効率化もできます。

でも、目の前の相手が何をされたら本当に嬉しいのか、どこまでされたら心を動かされるのかを、自らの身体感覚で想像することは、AIにはできません。それは人間の仕事です。

AIに任せるところは任せていい。
でも、人を喜ばせること、相手を想像すること、見えないところまで手を入れること。
そこは絶対にサボってはいけません。

madsaunistも常にそこを大事にしてきました。
熱狂的なファンを作るというのも、派手に宣伝することではありません。
体験した人が「これは誰かに伝えたい」と思うところまで作り込むことだと思っています。
その根っこにあるのが、僕にとっては忠恕なんです。

最後にビジネスで成功したい若いサウナーたちにメッセージをお願いします。

二兎を追ってほしいです。

仕事も、副業も、サウナも。
好きなことは、全部本気で追っていい。

もちろん失敗することもあります。
でも、なぜ失敗したかを言語化できれば、それは次の学びになります。

そして、AIに任せる部分は任せてしまって構わない。
でも、人を喜ばせること、相手を想像することは必ず自分でやる。

そこをサボらない人が、これからの時代に残っていきます。

サウナもビジネスも、結局は人です。
熱狂する人がいて、とことんこだわる人がいて、その情熱が誰かに伝わっていく。
madsaunistも、そうやってここまで来ました。

自分の中の情熱を信じて、早く、小さく、しぶとくやり抜いてください。

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YAS(今井康明)

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