バスタオルを巻いて、中庭で談笑する昼下がり。
100年続くフィンランド最古のサウナ
Rajaportin Sauna
(フィンランド / タンペレ)
サウナーの皆さん、こんにちは!
サウナライターのいしかわゆきです。
2カ月間にわたるヨーロッパ旅行のなかで巡ったサウナたちをご紹介していく本連載。
前回は、 世界のサウナ首都であるフィンランド・タンペレ「Rauhaniemi Folk Spa」をレポートしました。
今回は、タンペレ駅から15分ほど、バスに揺られたところにある、「Rajaportin Sauna」(ラヤポルティサウナ)へ。
言わずと知れた、フィンランド最古のサウナ。
創業した1906年からほとんど変わらぬ姿のまま、地域住民に愛されています。
前回、「Rauhaniemi Folk Spa」で出会ったおじいちゃんと雑談をしながら、バス停を降りて住宅街をテクテクと歩いていきます。
すると、一見「普通の家……?」にしか見えないような黄色いおうちが登場。
おまけに「Cafe」というネオンサインが煌々と光り輝いているので、何も知らない人だと勘違いしてしまいしそうな佇まいです。
なかに入ってみると、たしかに普通のカフェ。
しかし、奥にはサウナタペストリーがデカデカと飾ってあります。
ここではジュースやアルコールはもちろん、サウナハットなども売られています。
ちなみに、お水が設置されていたので、恐る恐る「有料ですか……?」と聞いてみたところ、「フリーやで!」とのこと。ありがたい!
入り口でお金を払い、更衣室……という名の小部屋へ。
特に鍵付きのロッカーなどはないので、貴重品をタオルでぐるぐる巻きにして隠します。
(フロントでも預かってもらえるらしい)
さすがにサウナ室内で写真を撮ることは憚られたので、ここからはお借りした写真で失礼します。
室内は2階建て構造で、下が洗い場、上がサウナになっております。全体的に部屋というより穴蔵っぽい感じ。
シャワーがないので、桶のなかに溜められたお湯をバケツですくって頭や身体を洗っていきます。この原始的な感じがたまらないね。
身体を洗ったら、2階のサウナへ。サウナなのに扉がないのが新鮮です。
男性サイドと共通のストーブで、男性がガンガンロウリュをしているのか、こちらはロウリュしなくてもすでにめちゃくちゃアツかった……!
蒸気がモクモクとすごいので、一緒に行った友だちの姿がまったく見えなかったです。
ベンチがぐるりと囲むような形なので、お喋りしながらサウナを楽しむことができます。
しかしつねに最上段にいるのと同様なのでアツい!(笑)。
それにしても、100年前に建てられたとは思えないほど、知恵が詰まっているサウナだなぁ。
2階建て構造だから、狭いスペースでもサウナが楽しめるし、あたたかい空気は上に集まるので効率が良いし、石造りのサウナストーブは1日のはじまりに一気に薪を炊いて1トン以上のストーンをあたため、1日中保温される仕組みになっているのだそう。すごい!
そして、Rajaportin Saunaの最大の特徴は、中庭でのんびりと涼めること!
男女問わず、バスタオルを巻いた人々が仲良く談笑しています。
カフェでビールを買って、飲んでいる人も。
何だか友人の家のサウナを借りて入っているような感覚だ……(笑)。
一応水着を着てもOKですが、ここの慣習に倣ってバスタオル1枚スタイルでいってみました。
水風呂はないですが、とにかく開放感がスゴいです。
あと、サウナ内でバッタリと新婚旅行中の友人に会いました。こんなことある?(笑)
思わず「久しぶり~!」と全裸で声をかけました。
なるほど、これが常連さんの気分か。
サウナ内といい、庭といい、どこにもひとりで座れるような場所はなく、あくまで置いてあるのは長いベンチのみ。
でも、それが人と人との距離をグッと縮めてくれているような気がします。
「お隣いいですか?」「今日は何してたの?」なんて一声から会話が始まりそうな、古き良き公衆サウナらしさを感じる場所でした。
いしかわゆき
サウナと温泉と旅をこよなく愛するライター。
好きなサウナは地方にある広々灼熱サウナ。
好きな水風呂は深くてキンキン天然水。
好きな温泉はpH9以上の強アルカリ性温泉。